「再生可能エネルギーは何故必要か?」その答えはズバリ、
「地球環境を保護し、社会の維持を可能にするため」ではないでしょうか。
今回の記事では、これを実現するために必要なことを大きく2つに分けてご紹介しながら、
再生可能エネルギーの必要性についてまとめています。
①CO₂の削減
持続可能な社会の維持に必要なことのうちの一つに、CO₂の削減が挙げられます。
CO₂(二酸化炭素)の発生は、化石燃料の燃焼による電気と熱の生成が主な要因だと言われています。
現在に至るまで、電力のほとんどは石炭、石油、天然ガスを燃やすことで作られており、
それによってCO₂とN₂O(亜酸化窒素)が発生しています。
また、化石燃料を燃やして商品を生産している製造業や工業の存在や、
森林伐採によって光合成を行う緑が減少し、大気への放出を留められなくなっていることも要因の一つと言えるでしょう。
地球は太陽の熱が届くことによって暖められており、暖められた地球からも熱を宇宙に放出しています。
その放出される熱の一部を吸収し、熱を地表にとどようとする役割を果たすのが温室効果ガスというもので、
大気中のCO₂やメタン、フロンの事を指します。
温室効果ガスが無くなると、地球のすべての熱が宇宙に放出されてしまい、
地球の平均氷点下19度まで下がると言われています。
私たち人間はもちろんのこと、生命の維持に必要不可欠な存在と言えます。
一般社団法人日本ガス協会|地球環境への取り組み「地球温暖化とは?」より抜粋
しかし、温室効果ガスが増えすぎると逃したい分の熱が宇宙に放出されず、地表にたまることで気温が上昇したり、地球全体の気候が変化したりします。
これがいわゆる「地球温暖化」です。
地球温暖化が引き起こしている問題には、以下のようなものが挙げられます。
- 海面上昇
- 異常気象
- 自然生態系の減衰
- 水・食料不足
私たちが住んでいる日本でも、異常気象を体感する機会が増えているように思います。
実際に世界の気温変動を見てみると、平均気温は徐々に上がってきていることがわかると思います。
IPCC第5次評価報告書 統合報告書製作決定者向け要約 図SPM.1(a)より環境省作成
次に日本の真夏日を見てみましょう。
現在でさえ秋が一瞬で過ぎ去るほど夏の暑さが続いていますが、
このまま地球温暖化のスピードが衰えなければ、地域によっては21世紀末には年間103日、
1年の約3割近くが真夏日となる予想も建てられています。
パンフレット「21世紀末における日本の気候」P8(環境省・気象庁)より環境省編集
以上の事から、いかにCO₂を削減することが重要かがお分かりいただけたかと思います。
②無くなる心配のない安定したエネルギー源を見つける
続いて2つ目に重要なことは、「無くなる心配のない安定したエネルギー源を見つける」ことです。
では逆に、「限りあるエネルギー源」とは一体何を指すのか?
それは、化石燃料です。
主に石炭、石油、天然ガスの事を指します。
経済成長と人口増加によって、世界のエネルギー消費量は今後も大幅な増加が見込まれています。
特にアジアの発展途上国を中心に化石燃料の利用が増え、世界のエネルギー需要量は
2040年には2014年の約1.3倍にもなると言われています。
しかし下記の図を見てみると、石油と天然ガスは今後約50年、石炭は約140年、原子力発電で利用されるウランは約115年分しか埋蔵分がありません。
資源エネルギー庁【1-1-06】世界のエネルギー資源確認埋蔵量より抜粋
また、石油は政情が不安定な中東地域に偏在しているため、石油供給が滞ってしまうというリスクもはらんでいます。
例えば第四次中東戦争をきっかけとしたオイルショックでは、石油の価格の引き上げや原油生産の削減が行われました。
その次にイラン革命をきっかけとした第二次オイルショックでは政治の混乱から生産が止まり、石油の輸入先をイランに依存していた日本は大打撃を受けました。
現在でも日本はエネルギー資源の多くが石油で、そのうち86%を中東地域に頼っています。
長い目で見た持続可能な社会の実現という観点からでも、枯渇することのないエネルギー源を見つけることが重要と言えますね。
再生可能エネルギーのメリット・デメリット
ここまでは、
・CO₂の削減
・無くなる心配のない安定したエネルギー源を見つける
の二つの観点からの「地球環境を保護し、社会の維持を可能にするため」に必要なことについてでした。
上記二つの中で挙がっていた様々な環境問題。
これらの解決策として注目されたものが再生可能エネルギーです。
- 太陽光
- 風力
- 水力
- 地熱
- 太陽熱
- バイオマス
- 大気中の熱、その他の自然界に存在する熱
上記の七種類が該当し、地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーを指します。
枯渇しない、どこにでも存在する、CO₂を排出しないという三点が共通の特徴です。
再生可能エネルギーのメリットをもう少し詳しくご説明します。
上記の図をご覧いただくとわかるように、地球温暖化対策に関するグローバルなものから非常時のエネルギー確保などローカルなものまで、幅広い分野に貢献ができます。
しかし一方で、デメリットも少なくありません。
発電規模が小さく価格が高くなりやすいことや、太陽光・風力などは天候によって発電量が大きく変動してしまうこと、
従来のエネルギー源に比べて発電効率が低いことや、FITが主流だった時期の印象でお金儲けのイメージがついていることなどが挙げられます。
「じゃあやっぱり再生可能エネルギーでは役不足ってこと?」
と思う方もいらしゃると思います。
しかし、このようなデメリットの解決策になりうる物も徐々に出てきています。
再生可能エネルギーの可能性
ここからは、再生可能エネルギーのデメリットの解決策と、今後の展望についてご紹介します。
デメリットへの対策
・ポータブル式ソーラーパネル
Nicesolar 折りたたみ式ソーラーパネル (Amazon通販サイトより抜粋)
ポータブル式ソーラーパネルは、アウトドアで家電製品を使用する際はもちろん、
万が一の災害対策としても非常に有効です。
・ペロブスカイト型太陽電池
ペロブスカイト型太陽電池
現在研究が進んでいる、安価かつ軽量で柔らかい太陽電池です。
従来のデメリットである材料や製造コスト面、設置場所の制限を解決できる存在で、変換効率も従来の物に劣りません。
そのため、少ない面積で大きな電力が得られる理想的な太陽電池として期待されています。
上記二つの他にも旭電業第二本社ビルの東南面に、太陽光をシースルー太陽電池パネルを設置している例もあります。
シースルー太陽電池パネルは従来の窓と同様に屋外への視界を確保しつつ、室内に太陽光を取り込むことが出来、
太陽光発電機能に加え遮熱断熱、紫外線のカット、結露防止などの機能も備えているそうです。
株式会社日刊建設通信新聞社公式ブログ
【日本最大級・ソーラーパネルビル】岡山市の旭電業第二本社ビル、東と南の全面が太陽光パネル より抜粋
今後の展望
デメリットへの対策とはまた別に、再生可能エネルギーへのイメージもまた、変化しつつあります。
例えば2014年に脱炭素社会を目的とするRE100という国際的な基準が設立されたことによって、
当初投資目的として考えられていたものが、環境問題を解決するための手段という認識に変わってきています。
RE100とは、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とするもので、
日本では約70社が、世界でも超大手企業達が加盟しています。
これに伴い、今後も再エネ市場は普及することが予測されるため、
需要が大きくなることで再エネにかかる資材の価格が低くなり、より低コストで安定性も高く発電効率の良い商品が生み出されると考えられています。
まとめ
今回の記事では、「地球環境を保護し、社会の維持を可能にするため」に再生可能エネルギーが必要な理由について
・CO2の削減
・無くなる心配のない安定したエネルギー源を見つける
という二つのポイントに沿ってお話しました。
再生可能エネルギーにはメリットだけでなくデメリットも少なからずあるため、
今後は、よりリスクが少なく導入されやすいエネルギー源としての展開が期待できますね。